03

スタジオを出て廊下をウロウロしてると

曲がり角を曲がる

おにぃの後姿が見えた。

あっ!

いた!

私は思わず追いかけた。

大急ぎで走り

角を曲がり、

おにぃの後ろ姿を捕らえた。

ゆっくり近づき、

背中をポンと叩こうとした瞬間ー

にのくん!

おにぃは

有名な女優さんに声をかけられた。

私は伸ばした手を

思わず引っ込めた。

あーにのくぅん!久しぶり!

ご無沙汰してます笑

全然連絡くれないじゃない〜

私は2人に顔を背けるようにして

軽く会釈し

足早にその場から離れた。

背後に聞こえる

楽しそうな話し声

そうだった

おにぃと同じ現場って

楽しい事もある反面、

見たくないものも

目にするんだった

女優さんと仲良く話してたり、

タレントさんに突っ込みいれて

楽しそうに笑ってたり。

カメラが回ってないところで

おにぃが優しくしなんてしてたら

あー!

ダメだ!ダメだ!

私、全然成長してないじゃない

そーゆーことは、見ないことにする。

アイドルビジネス。

そう、ビジネス。

枕営業だってあるくらいだし。

知らないけど

でも

同じ女性に生まれて

どうしてこうも違うんだろう

あんなに細くって

綺麗で

顔も小さくって

オシャレで

私なんて

相変わらず

真っ黒な男か女か分からないような恰好。

ほとんどしない化粧。

言い出したらキリがない。

言ってても仕方ないな。

仕事しよ

私は廊下奥の

機材室の扉を開けた。

天井いっぱいの棚には

機材がぎっちり並んでいる。

相変わらず分かりにくいなぁ

番組名が書かれているものは

その番組専用のものだから

使ってはいけない。

使っていいのは何も書かれていないもの。

あいうえお順に並べるとか

もう少し整理整頓してくれてたら

すぐに見つかるのに

空いてるスペースに

とにかく戻すだけだから

前に置いてた場所とは違う場所に置いてたりする。

こっちの部屋に無いから

奥かな

部屋の奥の扉を開けて

もう一つの部屋に入った。

機材室は2部屋ある。

1の部屋は表の鍵が開くんだけど

2の部屋は随分前に鍵穴が壊れた。

2の部屋へは、

1の部屋の中の扉からしか入れない。

分かる?私の下手な説明?

2の部屋の電気をつけたら

蛍光灯がカチカチしていた。

もー!見えにくいなぁ

暗くなったり、明るくなったりする中

私はなんとか

ピンマイクの入ったケースを見つけ出した。